蒼穹楼

クレ海至上主義の管理人がおくる、妄想小説連載ブログ。

ミスルトウの奇蹟 2

中編

自分に自信を持っている人間の「本気」には、他を圧倒する力がある。そして今、私はまさに圧されていた。

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 もしかしたらどこかにテレビカメラが隠されていて、私の反応を隠し撮りしてみんなで笑い種にしようとしているんじゃないか。私は本気でそう疑った。ただ、仮にこれがドッキリだったとして、その割には皆の表情が演技ではなしにぽかんとしているように見えるのが気がかりだった。本当にドッキリなら、誰か一人くらいはわざとらしく驚いているか、あるいはまったく涼しい顔をしているかしていてもいいだろう。私は弾かれたように顔を上げ、そんな様子でいる人を探した。するとたったひとり、後者に当てはまる人がいた。まさか彼がこのドッキリを?――そう考えかけて、けれどすぐにかぶりを振った。そんなはずはない。彼が――クレフがこんなドッキリを仕掛けるなんて、あり得ない。

「いい加減にせんか、ハレス」
 怒号を響かせたのはタータだった。椅子から立ち上がった彼女は、褐色の頬を怒りに染め、目を血走らせた。
「冗談にも程があるわ。面白ない茶番、聞かせんといて」
 今度ばかりはタトラが言葉遣いを指摘することもなかった。
「冗談なわけないだろ」とハレスは言った。「俺は本気だ。妻にするならウミしかいない」
「ウミにあんたみたいなチャラチャラした男は似合わへんわ」
「俺のどこがチャラチャラしてるって言うんだよ。ウミをほかの女と天秤にかけてるっていうなら話は別だが、俺は正真正銘の独り身だぞ」
「何言うたかて、あんたのの見た目はチャラチャラしてる以外の何物でもないやろ」
「見た目なんかどうだっていいだろ。問題なのは心で――」
「あんたは心もチャラチャラやわ!」
 タータはもう、ハレスが何を言おうと彼に「チャラい男」というレッテルを貼り続けるつもりのようだった。鼻息荒いタータを前に、ハレスは一度ため息をついた。私はハラハラして彼を覗き込むように見たが、跪いたままタータをじっと見上げているハレスと視線がかち合うことはなかった。

「ウミのためならなんでもできる」
 先ほどより明らかに声のトーンを落として、ハレスは言った。
「彼女が望むなら、俺は次期国王になったっていい」
「アホ言うな! 国王は父上だけや。父上の後を継ぐのも、姉様と決まっとる」
「もとは俺の父が国王になるはずだったんだ。それをおまえたちに譲っているというだけで、正当な王位継承権があるのは俺だ」
「姉様! こいつになんとか言ってやってくれへんか!」
 タータは地団駄を踏んだ。二人のあいだに挟まれる形になってしまった私も、縋る思いでタトラを見た。タトラは大きく見開いた目で何度か瞬きをし、そしていつものようにふんわりと笑った。
「二人とも、いつの間にそんなに仲良しさんになったの?」
 多くの人がずっこけた。
「これのどこが仲良しに見えるんや!」とタータが叫んだ。
「冗談よ」とタトラは笑った。「でも、どうしてタータはそんなに強く反対するの? ハレスはいい男じゃない」
「だって」と言いかけたところでタータははっと口を噤んだ。そしてやおら私を見下ろし、瞳を揺るがせた。そのときのタータの表情は、私の心に大きな荒波を立たせた。思わず顔を逸らしてしまった。タータは知っているのだ。彼女は、私がもう何年も密かにあるひとを想い続けていることを知っている。

「ウミ」
「きゃっ」
 突然手を取られたことに驚いて、私は小さな悲鳴を上げた。引こうとした手を、けれどそうはさせじとハレスが強く握る。初めて触れたハレスの手は、驚くほど大きくて、熱かった。
「君が異世界の人間であることはじゅうぶん承知してる。でも、もしも俺と一緒になってくれるなら、これまで過ごした世界を捨ててよかったと思えるような生活を保障しよう。俺の妻になってくれないか。君を愛してるんだ」
 その手と同じくらい熱い瞳が、私を射抜く。うなずけるわけがないのに、咄嗟には反応できなかった。「愛してる」なんて、親以外の人から言われたのは初めてだった。それも、こんな真顔で。
 この人は本気なのだと思った。ハレスの瞳に嘘はなかった。
 自分に自信を持っている人間の「本気」には、他を圧倒する力がある。そして今、私はまさに圧されていた。思わずちらりとクレフを見てしまったのは、意図した上での行動ではなかった。クレフは優雅に紅茶を口に運んでいた。私と視線がぶつかっても、クレフはちらりとも動揺しなかった。
 私はクレフから視線を外し、ハレスに向き直ると、彼の手から自分の手を静かに抜きながらかぶりを振った。
「ごめんなさい。あなたの気持ちには応えられないわ」
 ハレスは一瞬押し黙った。けれど意外にも、彼は傷ついたようなそぶりは見せなかった。
「なぜ?」とハレスは跪いた体勢のままで訊いた。「何が足りない? 君は不自由のない生活が約束されるんだ。欲しいものがあるなら、世界の果てへ行ってでも俺が手に入れてみせる。万一君を傷つけようとする人間がいれば、俺が命に代えてでも君を守る。食事はすべてチゼータ随一のシェフに作らせるよ。ベッドに使う羽毛は、国王のベッドにも使われている最高級品を特注する。服はすべてオーダーメイドで――」
「そういうことじゃないの」
 私は大きな声で、黙っていたらいつまでも喋り続けそうな勢いのハレスを遮った。
「そういうことじゃないのよ」と私はもう一度、今度はやや落ち着いた声で言った。「何かが欲しいわけじゃないの。私はただ、あなたのことをそういう対象としては見られないだけ。あなたは友達としてはいい人よ。でも、恋人じゃないわ」

 ハレスの真紅の双眸が、私をじっと見つめる。見つめられたところが着火するんじゃないかと思うほど、そのまなざしは真剣だった。目が焼けてしまうことを半分本気で心配しながら、それでもここで視線を外すわけにはいかないと、私は瞬きも忘れて懸命にハレスを見返した。やがてようやくハレスが表情を緩めてくれたときには、大きな疲労感が私を襲った。
「やっぱり、一筋縄じゃないかないか」
 言いながら、ハレスは立ち上がった。
「でも、その真っすぐなところがますます気に入ったよ。俺は絶対に諦めない。今は無理でも、いつか必ず君を振り向かせてみせる。君の心を手に入れてみせるさ」
「な……そんなこと」
 ハレスの言い方にカッとなって、私も立ち上がった。おそらく180センチ台後半のハレスと目を合わせるためには、立ち上がってもなお首を大きく反らさなければならなかった。
「誰かの心を手に入れることなんて、誰にもできないわ。その人の心はその人だけのものよ。心は宝石とは違うの。どんなにお金を出したって、自分のものになんてできないわ」
 これが風の誕生日を祝う席だということを、私はいつの間にか失念していた。おそらくテーブルを囲んでいた誰もが同じだっただろう。今や皆、固唾を呑んで私たちのやり取りを見守っていた。面白半分でいるような人は一人もいなかった。

 静かに流れた沈黙の中で、ハレスはふっと口角を引き上げた。この期に及んで、そんな笑顔も様になる男だと思った。
「強気なんだな」
 ハレスの手が私の顎をつかむ。過度な自信に裏打ちされた彼の態度に、強気を超えて怒りを覚え始めていた私は、自分からは絶対に目を逸らさないと決めていた。
「怒った顔も美しいよ」
 そんな言葉が耳を掠めた、その直後だった。ハレスの燃えるような瞳が急に近づいてきたかと思うと、その瞳が瞼の裏に隠れると同時に、私の唇に柔らかいものが触れた。
 はっと誰かが息を呑む音がした。一瞬頭が真っ白になる。無意識のうちに呼吸を止めていた。一度瞬きをしてようやく、唇に触れているのがハレスのそれだと理解した。
「いやっ」
 力任せにハレスの胸板を突き飛ばす。さすがに唇は離れたけれど、ハレスはよろめいただけだった。目が合うと、ハレスは笑った。
 もう何がなんだかわからなかった。椅子に置いていた鞄を手に取ると、私は大広間を飛び出した。扉に触れた手は震えていた。背後では私を呼ぶ声とハレスを咎める声とが交錯していたけれど、それらも扉が閉まったことで聞こえなくなった。


 人気のない回廊をただひたすらに走り続けると、バルコニーに出た。一度も足を踏み入れたことのないところだった。全力疾走してきた足をようやく止めると、息が上がった。
 空にちりばめられた星々が、代わる代わるウインクをする。火照った肌を、夜風が冷やす。バルコニーの手すりに手を置き、私はふっと息をついた。わずかでも気持ちが落ち着くと、まず浮かんだのは「信じられない」という気持ちだった。
 試しに手の甲の皮をつまんでみると、鋭い痛みが走った。信じられなくてもこれは現実らしい。けれどそんなことはとっくにわかっている。「信じられない」のではなく「信じたくない」のだ。これが現実だなんて認められない、認めたくない自分がいる。セフィーロには、起きたことをなかったことにできる魔法や、時間を巻き戻す魔法はないのだろうか。何でもいいから縋りたかった。今ならどんな詐欺にも簡単に引っ掛かってしまいそうだと思った。

 恐る恐る手を持ち上げ、唇に触れる。こうして意識的に自分の唇に触れたことなんて、もしかしたら一度もなかったかもしれない。毎日きちんとリップクリームを塗っているのに、表面が少し乾いていた。
「キス、されちゃった……」
 呟きを、風がさらっていく。その風は私の髪を鳴らし、夜空へと舞い上がった。視界が曇る。瞬きをすると、涙が頬を伝った。
 ファーストキスは好きな人と。女の子ならば誰でも願うことだろう。もう二十歳を目前にしているとはいえ、私もそのうちのひとりだった。それなのに、まさかこんな形でファーストキスを奪われることになるなんて。
 怒りよりも哀しみの方が強かった。私の何がいけなかったんだろう。あんなに強気に言い返したりしなかったら、こんなことにはならなかったのだろうか。何よりも、ほかの人にキスされるところを好きな人に見られてしまったということが、私の胸を砕いた。
 思い返すたび、否応なしに心が粟立つ。いっそのこと、このまま心が壊れてしまえばいいのにとさえ思ってしまう。広間を出るとき、怖くてクレフの顔を見られなかった。彼がどんな顔をしていたとしても、一瞬でも目が合っていたら私は傷ついていただろうと思う。もう、この空に輝く星のひとつになって消えてしまいたい。また新しい涙が手すりにこぼれ、弾け飛んだ。そのとき突然、背後で靴音がした。
「こんなところにいると、風邪をひくぞ」
 今もっとも会いたくない人の声だった。私ははっと肩を震わせ、刹那息を止めた。

 振り返ることも、言葉を返すこともできない。そのまま無言を貫いていると、静かに近づいてきた足音が私のすぐ隣で止まった。その直後、淡い光がそちら側から発せられたかと思うと、私の肩に柔らかいストールが掛けられた。シルクのような手触りのそれは、とても薄いのに、信じられないほど暖かかった。
「……ありがとう」
 絞り出したその言葉も、顔を見て言ったものではなかった。
 一人のときは気にならなかった静寂が、クレフがやってきた途端、心に突き刺すようなプレッシャーを与えてきた。クレフと一緒のときに沈黙すること自体あまりないけれど、たまにあったとしても、これほど苦痛だと感じたことはなかった。今の沈黙は、私にとっては拷問にも等しかった。ならば自分から何か喋ればいいのに、こんなときに限って何も言葉が浮かんでこない。クレフが手すりに背中を預けるのが、視界の隅に見えた。彼は何を想ってそこにいるのだろう。また、あのときは何を想ってあそこにいたのだろう。考えたくないのに、心はそのことにばかり向いた。

「あとでフウのところに顔を出してやりなさい」
「えっ?」
 唐突なクレフの言葉に、私は思わず彼を見た。その横顔は相変わらず透き通るように透明で、女の子と見紛うほど整っていた。ああ、いつものクレフがいる。そう思うと、頬を撫でる風が急に柔らかくなったように感じた。
「ひどく心配していた。おまえの顔を見るだけでも安心するだろう。もう部屋へ戻っているだろうから、帰りがけにでも寄ってやるといい」
 今日の宴は、風の誕生日を祝うものだった。そのことにようやく思いが至ると、途端に彼女に対しての申し訳なさが心を占領した。不可抗力とはいえ、あんな形で私が輪を抜けたら、場が白けてしまうのは避けられない。まだデザートを残していた食事はどうしたのだろう。妊婦にストレスは大敵だ。今回のことを気に病んでいなければいいのだけれど。
「そうするわ」と私は言った。「せっかくの誕生日だったのに、悪いことしちゃった」
 クレフは何も言わなかった。
 こういうとき、クレフは間違っても安っぽい慰めの言葉を口にしたりはしない。落ち込んでいるときは、何かを言ってほしいときもあるけれど、逆に何も言ってほしくないときもある。そういう心の機敏を読み解くことについて、クレフには天性の才能があるようだった。クレフが口を開かないことで、私は今、心をそのまま受け取ってもらえたような気がしている。けれどクレフは、彼のそんなささやかな行動が私をどれほど安堵させているかということには気づいていないと思う。

「つい今しがた、チゼータの一行を見送ってきたところだ」
 まるで世間話をするような口調で、クレフは問わず語りに言った。私は返事に戸惑ったが、クレフは気にせず続けた。
「タトラとタータが、ハレスを抱えるようにしてプラヴァーダに乗り込んでいったのには、笑ったな」
 言葉どおり、クレフは小さく思い出し笑いをした。けれど私は笑えなかった。クレフの口から「ハレス」の名を聞かされたことが、自分でも驚くほどの衝撃でもって迫ってきた。私は手すりの上で両手を握り、そこに視線を落とした。はるか彼方の稜線に、精獣の遠吠えが木霊している。
「結婚なんて、考えられないわ」
 線香花火の火を落とすように、ぽつりと言った。
「そもそも東京を離れることが、今の私には難しいわ。大学もまだ卒業してないし、パパとママへの親孝行も全然できてないもの。それに、風と違って私はまだまだ子どもだから、誰かと結婚して子どもを産み育てるなんて、想像もつかないわ。まして、チゼータなんて……全然、勝手がわからないし」
 言いながら、すべては言い訳に過ぎないのだということを痛感した。世界の違いも年齢も、本当は大した問題ではない。問題は相手なのだ。もしもほんとうに好きな人に「結婚してほしい」と言われたら、喜んで首を縦に振っているだろう。
 意識のすべてが隣に立つクレフに集中する。ハレスに言われた言葉をクレフに言われたいと思った。もしもあのとき私の目の前で跪いた男性がクレフだったなら、どんなにかよかっただろう。

「ねえ、クレフ」
 私はそっと体の向きを変え、クレフを見た。彼と視線は交わらない。長い前髪に隠れたその大きな瞳が何を映しているのか、ここからではわからない。
「次にハレスに会ったら、私、ちゃんと断らなくちゃいけないと思うの。でも、ただ断るだけじゃなくて、どうして断るのか、その理由も言わないと、ハレスは納得してくれないと思うわ」
 クレフの長いローブが風に靡く。いつになく急いた心が、私の体の奥深くにある言葉を押し出す。もう止められなかった。言葉の力で空へ飛んでいけるような気さえした。
「もしもあなたが『断りなさい』って言ってくれたら、私――」
「ウミ」
 ところが、クレフの声が私の言葉をぐっと圧し戻した。手すりに置いた手が、われ知らず震えた。
「おまえが不安になる気持ちはわかる。慣れぬ世界で暮らそうと言われて、すぐにうなずける者などいないだろう。私とて、どこの馬の骨ともわからぬ人間におまえを任せようという気にはならん。だが、ハレスならば話は別だ」
 クレフが言葉を紡ぐたびに、全身から血の気が引いていくのを感じた。その先はもう聞きたくないと思うのに、体が動かない。
「ハレスはやんごとなき一族の血を引く者だ。私個人はさほど話す機会はないが、悪い噂は聞かない。振る舞いを見るにつけ、おそらく優れた知性の持ち主だろう。若いが故の大胆さの中にも、いい意味でのしたたかさがある。二言のない男だ、おまえを『必ず守る』と言ったのだから、そのとおり、何に代えてもおまえを守ってくれるだろう」
 クレフのローブが動く。手すりに寄り掛からせていた体を起こし、クレフは顔を上げた。暗がりでもはっきりそれとわかる真っ青な双眸が、私を射抜く。どう頑張っても目を逸らせない。
「今日のハレスの申し出――私は、悪い話ではないと思う」

 これまで築き上げてきたものが、ガラガラと音を立てて崩れていく。六年の歳月をかけて大切に編み上げてきたクレフとの思い出が、一瞬にして海の藻屑と消える。そんな錯覚を見た。
 先に視線を外したのは私だった。
「ひとりにして」
 手すりを抱えるようにすることで、辛うじて立てていた。まだ横顔に視線を感じる。クレフが動いた気配もない。
「お願いだから、ひとりにして」
 堪らず声を荒げた。ひとりになりたいなら私がここから離れたらいいのかもしれないけれど、もう一歩も動き出せそうになかった。とにかく今はひとりになりたかった。これ以上クレフといたら、私は私でなくなる。そんな気がした。

 それから凛とした足音が響き出すまでに、そう長い時間はかからなかった。クレフは何も言わずに去っていく。どんどん遠ざかる足音に、迷いはない。やがてその足音は風の音とも区別がつかないほど小さくなり、そして完全に消え去った。
 何を驚くことがあるだろう。私はいったい何を期待していたのだろう。
 自分の愚かさを呪った。「断りなさい」などという台詞、万に一つもクレフが口にするはずがない。いつも私たち一人ひとりの幸せを等しく考えてくれるクレフなら、むしろ「受け入れなさい」と言うのが当然だ。クレフの言うとおり、ハレスは結婚相手としては申し分のない男性だ。きっと私に惜しげもない愛情を注いでくれるだろう。こんな良縁を、クレフが推奨しない理由はない。

 もう長いこと、心のどこかでいつかクレフが「私のそばにいなさい」と言ってくれることを期待していた。ファーストキスの相手も、クレフだったらいいなとずっと夢見ていた。けれどそれは、もはや文字どおり夢、決してかなうことはない。
 あまりにも居心地のいい夢だったので、強制的に醒めさせられても現実とのギャップに心が追いつかない。止め処なく流れる涙を、私はどうすることもできなかった。クレフにとって私は、結局その程度の存在だったのだ。彼のもとから離れてしまっても、それを心から祝福できるような相手なのだ。
 暖かすぎる背中のストールをつかむ手が、否応なしに震えた。涙は止まらないのに、不思議と声は出なかった。そのまま涙が枯れてしまうのではないかと思うまで、私はひたすらに泣き続けた。クレフを想って泣くのは、これを最初で最後にしよう。そう固く心に誓いながら。




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